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Last Update : 26 Mar. 2009

 
Aviation144s - 1/144 レシプロ機の世界 -
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■ PLATZ : Grumman F6F-3 Hellcat ヘルキャット "The minsi"

最高レベルの精度と最低の完成度を併せ持った、やっつけ仕事的製品

発売予定が半年以上も延びに延び、2008年末にようやく発売された、個人的には一日千秋の思いで待ちわびていたプラッツの 1/144 F6F-3 であるが、出てきた製品は同社最高の成型精度を駆使した、最低の完成度のやっつけ仕事的製品であった。

かねてから、出来についてはイマイチな噂の製品であったが、実際に手に取ると単純な間違いや調査不足が至る所に見つかり、腹が立つ。
私が気付いた個所は以下の通り。

(1) 胴体断面が
洋梨型(赤線)青線は本来のライン(正確には、側面はほぼ平面のまま底部の半円につながる)
(2) カウリング両側面、
排気管部分のふくらみがずれており、且つオーバースケール
(3) 胴体側面の排気用窪みの角度が
曲がっている(後ろが垂れ下がっていて、情けない)
(4) キットは3型なのに、第一風防が5型用(←致命的ミス 馬鹿じゃなかろうか)
(5) 主翼下面の着陸灯が両翼についている(正確には左翼下面のみ)
(6) 主脚カバーのふくらみが不自然に角ばっている(正確には丸みを帯びている)
(7) デカール、シャークマウスがオーバースケールで、デザインもオリジナルと異なる
(8) デカール、主翼の袖付き国籍マークが50インチでサイズが違う(正確には45インチ)

あまりの多さに閉口してしまった。
どれもが少し調べればすぐに正確な情報が得られるものばかりなのである。

(1) であるが、いきなり胴体の断面形がまちがってるぅ〜・・・。 こんな目立つところ、なんでミスるんだろ??? 実機の胴体断面は簡単に言うと、ティアドロップ型である。上半分を形成する三角形の底辺長と、下半分を形成する半円形の直径が、直線的且つスムーズに繋がっているはずなのだが、洋梨形のような曲面で繋がっている...。 要するに、側面が凹んでいるのだ。平面に近い状態のはずなのに。
巷に溢れるほど存在する図面、実機写真、イラストのどれを参考にしたら、このような断面形状であると結論付くのだろうか。そう判断することの方が困難である。全く理解に苦しむ。

(2) に関して、カウリング両側の、排気管部分に付いているふくらみの位置がずれている。
そこにふくらみが付いている理由を考えれば、容易にあるべき位置が分かるのに。これは、原型または金型の設計者が実機の構造を理解していない証拠である。

(4)致命的なのがキャノピー。 良く見たら第一風防が -5 型用なのだ...。orz
イタミヤの 1/72 でも参考にしたのか? アレと思いっきり同じ間違いを犯している。
調査不足も甚だしい。本当に馬鹿じゃなかろうか、と悪態の一つもつきたくなる。

...まぁ、自分が無類のヘルキャット好きだからこそ、突っ込み所をあちこちに見つけてしまうのは仕方なかろうが、前作の P-47 と比べたら、「愛情」が薄いな〜〜〜〜〜とおもってしまふ...。 なんだかなぁ...。

よって、製作にあたっては
これらの問題点を全て修正する。

まずは胴体。洋梨形の胴体断面が気になって仕方ないので、モールドを潰すのを覚悟で
パテを盛る。繊細なモールドではあるが、再生出来ないレベルでは無いので問題なかろう。
直したほうが気分もスッキリするだろうし。(
成型後

ディテールアップの見せ所はやっぱり、エンジンとコックピットであろう。
エンジンは後列を再現し、プラグコードとその基部、及び一部の排気管を追加した。 (
画像1画像2画像3画像4
プラグコードは、1/72 のエンジンでその工作の細かさに面倒くささを痛感していたが、まさか 1/144 のエンジンにも施すことになろうとは...。 さすがに細かいので、ややアバウトな工作になってしまったが、まぁそれらしく仕上がったので良しとしよう。(
画像5

コックピットは外形のみのインパネと座席くらいしか無いので、外形のみのインパネに 0.14mm 厚のプラペーパーで計器盤を追加。両側の計器やスイッチ、レバー類などを自作する。床にはフレームや操縦桿などを追加する。(
画像6画像7) まぁ、このスケールだとこんなものか。(画像8

尾翼は塗装の都合上、差し込んでいるだけだが、とりあえず士の字に。(
画像9
ほぼ全て自作となったコックピットは、シートベルトを追加し、実機通り後方バルクヘッドにある横棒(これも自作して追加)をくぐらせて接着。インパネは、0.5mm のリベットスクライバを押し付けて計器を表現した後、白エナメルで墨入れした。(
画像10画像11
この後はインパネ上部の塗装や所々剥げてしまっている塗装をタッチアップして、サフ吹きに入る。塗装を終えたら、最後に MK8 照準器を自作して載せる予定。(
画像12

キャノピーは当然ながら開口するが、第2風防をヒートプレスで自作するといった高度な技術は持っていないので、どうしようかと思案した挙句、エッチングソーにて切り離した第2風防の内側を、PROXON の電動ルーターにグラインダービットをつけて薄〜く削り込む作戦と相成った。(苦笑) 約 0.5mm の薄さまで削りこんだところでフィッティング終了。これ以上削り込むと割れてしまいそうなので、ほどほどにしておく。後はペーパーとコンパウンドを使って透明度を回復させれば OK。

その他のディテールアップとしては、胴体下部の3色の識別灯はデカールによるショボい表現だったので、透明プラ材を埋め込んだ。また、主翼下のメンテナンスハッチがモールドされていなかったので、パネルラインを埋めて彫り直した。(
画像13

機銃は真鍮パイプに
リプレイス
今回再現しようとしている機体のカウリングは、側面排気管部分のふくらみも廃止されているので、キットのモールドを削り取りフラットにした。下部のカウルフラップも無いので、モールドを埋めてパネルラインを彫り直す。
また、すぐ後ろにある胴体の窪みもプラ材を追加したり、削ったりして角度を直している。翼端灯は電球を表現しつつ
クリアー化
エンジンは、実は左側面のカウリングを開ける予定なので、排気管も見える部分だけ(笑)追加している。
胴体に接着した時点では、エンジン後方の空間がなんとなく寂しいが、カウリングを接着して開口したカウリングに骨組みなどを追加したら精密感が生まれ、違和感無く見られるようになるであろう。
その他、主脚にはブレーキパイプを追加し、カバーのふくらみを丸める。主翼前縁にガンカメラなどの穴を開ける。

サフ吹きが終了。カウリングの左上パネルをカットして、前述通りエンジンを見せるようにした。一日しっかり乾燥させたら、表面を均して塗装の下地を作り、いよいよ塗装に入ることが出来る。(
画像14
サフの下地を、#1500 と #2000 のペーパー、そして最近話題のラプロスにて整える。これは大変使いやすくてお勧め。
下地がきれいに整ったら、フィニッシャーズのファウンデーションホワイトを吹き、本塗装の準備が完了。塗装は一般的なトライカラースキムであるが、スケールが小さいので今回は φ0.2mm のハンドピースを使用した。基本のトライカラースキムを吹いたら、一度クリアーを吹き、良く乾燥させてた後にデカールを貼り付ける。
国籍マークは、胴体のマークは星の直径が 50インチであり、主翼では 45インチとなる。
ところが、キット付属の国籍マークは、主翼も胴体用と同じ 50インチサイズであり、当然ながら間違っているので使えない。 仕方ないのであれこれ物色し、結局 SWEET の FM-2 キットに付属している国籍マークがちょうど良いサイズだったので、これを流用することにした。 あと、尾翼に "F6F-3" と "NAVY" のステンシルを貼り付けた。
デカールを貼り終えたらクリアーを再度吹きつけ、しっかりと乾燥させてからスミ入れを行う。再度クリアーを吹き、その上から部隊略号やパーソナル・レターの手書きを行う。
再現する機体はデヴィッド・マッキャンベル搭乗の "The minsi" である。
デカールは付属しないので、機首にある "The minsi" のパーソナル・レターは手書きによって再現した。本来は両サイドに描かれていた "The minsi" であるが、いかんせんヘタレな自分は2つ同じように描くことができず、仕方なく右側のみ描き込んで、右側のみ描かれていたという従来の認識に甘んじてしまった。(D&S 誌掲載のマッキャンベル本人のインタビューに、パーソナル・レターは両サイドに描かれていたと語っている)
また、主脚カバーの基部にも A.G.C を手書きした。 尾翼への書き込みは、あまりにも小さいので無理。ここはオミットした。 最後に、半つやクリアーを吹いて最終的な表面を整え、排気管の汚れを追加して塗装は完了。
小物部品を取り付けて、アンテナ線を張れば完成だ。

あ、そうそう。
キット付属のデカールを使用するときの注意。キットの指示ミス&記載漏れなど。
シャークマウスのプリンストン搭載機を製作する際、カウリングは後期型なので両側面のふくらみは削り落とす。また、デカールの機体では下のカウルフラップも無いと思われるので、気になる方は今回の作品と同じくモールドを埋めてパネルラインを彫り直すと良い。(要するに 5型のカウリングと同じディテール)

今回は、ベースキットの調査不足による間違いがあまりにも多く、頭にきたので徹底的に修正した。全ての修正を必ずしも行う必要は無いが、少なくとも胴体の修正は必須であると感じる。胴体を修正するだけで、完成時の印象がまるで異なってくると思う。

完成。自分としては実機の雰囲気と存在感を上手く出せたと思うのだが、如何だろうか。
苦労はしたが、手を入れただけの甲斐はあったと満足している。



(完成: 2009年1月31日)

※画像をクリックすると、XGA サイズの大判画像がポップアップします。
 拙作の画像ではありますが、宜しければ壁紙などにお使い下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


事後報告

ご存知の方もいらっしゃるかと思うがこの作品、恥ずかしながらホビーショップチェーン イエローサブマリンの、秋葉原スケール模型専門ショップで開催された 1/144 飛行機模型コンテストへエントリーしていた。
幸いなことに賞をいただき、やれやれと苦労が報われた喜びを味わうことが出来た。
小さなイベントとは言え、やはり自分の作品が公に評価されたことは、素直に嬉しいもの。

ちなみにこの作品、某模型誌 2009年5月号に掲載された記事の中で、作品名を思いっきり間違って掲載されてしまった。

誤 "Thie minsi" on main taining

正 "The minsi" on maintaining("The minsi" 整備中 の意味)

間違いの原因はおそらく2つ。
作品に添えるカードに作品名を記入する際に、私が書き間違えて The を Thie としてしまったことと、模型誌の編集の方が maintainig という単語の意味をご存じなかったのか、maintaining を main と taining とに区切ってしまったため、何のことかサッパリ分からない英文が掲載されてしまった。(爆)
エントリーの際の申込用紙には正しく書いてあったので、イエサブのサイトでは正確な表記になっていたが、出来れば某誌の編集さんもそちらをご参照していただきたかった、と思ったところで後の祭りである。
まぁしょうがないか。これも良い記念になったと思う。(笑)

(2009年3月26日)

 

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