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Premium2 使用レポート

PLEXWRITER 再び
プレクスターより、CD-R/RW ドライブ PLEXWRITER Premium2 が発売されました。
この記録型 DVD ドライブ全盛の時代にあって、CD-R/RW の書き込みは DVD のそれに付随する機能に過ぎない位置付けになって久しいのは、当サイトの使用レポートの変遷からも容易に推察できることと思います。
しかしながら、音楽スタジオやオーディオ愛好家の PC ユーザーなどから、高品位に CD-DA を書き込める「現行」CD-R/RW ドライブを切望する声は決して少なくありませんでした。そこで満を持して突如登場したのが、PLEXWRITER Premium2 です。 実際に音楽スタジオでの運用はともかく、これはオーディオを愛好する PC ユーザーにとっては大歓迎すべき製品です。

今からちょうど2年前、PLEXWRITER Premium (PX-W5232TA)が発売され、コンシューマー向け製品としては当時最高水準の書き込み品位と CD-DA の音質をもたらしてくれましたが、今回の Premium2 は、名前からも分かるように Premium の次世代版であるといえます。

果たして今回の Premium2 は、当時多くの愛好者をうならせた Premium にどれだけ迫れるのか、或いはどのような勢いをもって Premium を凌駕するのか、興味は尽きません。

●Premium2 の主な特長
パッケージからしてマニアック。味も素っ気もないダンボール地に黒印字で型番が書かれているだけです。 プレクスターに問い合わせると、このパッケージでそのまま販売するとの事。2万円近い価格を惜しみなく CD-R の高品位書き込みに投資したいと思う愛好家なら、むしろこの小ロット感覚のプレーン・パッケージに気持ちをくすぐられるのではないでしょうか。

さてドライブ本体ですが、基本的には音質追求型の旧モデル Premium とコンセプトも仕様も同じ路線です。Premium2 として進化した部分は、

(1) Intelligent Air Flow
メディアの回転時の空気の流れを改善し、面ブレを抑える機構を搭載。

(2) 2x 書き込みが可能
Premium では 4x 書き込みが最低速度でしたが、より丁寧な書き込みを可能とすべく、2x 書き込みに対応。 一層の高品位な書き込みに寄与します。

(3) AudioMASTER の搭載
ヤマハ株式会社が独自に開発した、線速を早めて CD-DA の音質を向上させる機能を搭載。
これにより、74min メディアを使用して 63min と記録時間が短くなる分、線速が早くなるので、ジッターなどの音質に対するマイナス要因を低減させることが出来ます。
※AudioMASTR による書き込み速度は、4x 書き込み固定になります。

Premium2

この他、Premium と共通の特長である、「オーディオ用コンデンサの使用」として、電源周りの回路に、オーディオ特性の優れた ELNA 社製の電解コンデンサを採用しています。
こういった、通常の CD-R/RW ドライブや DVD±R ドライブ製品では、まず使うことの無い音響用電子部品の採用が、このドライブへのプレクスターの意気込みを感じる部分であると言えます。

この他の詳しい製品情報は、プレクスター(株)のウェブサイトをご覧下さい。

プレクスター株式会社トップページ: http://plextor.jp/

●準備
PC の環境は、PX-760A の時から若干変わっています。
具体的にはメモリを 2GB に増設し、S-ATA II インターフェイスを搭載して、S-ATA II HDD から Windows XP Professional SP2 を起動している部分が変更点です。

CPU: Pentium 4 3.2GHz
Memory: 2GB
HDD: Serial ATA II 250GB(システム用)
HDD: Serial ATA (on board) 80GB(WAV データ保存用)
OS: Windows XP Professional SP2

製品にバンドルされているライティングソフトは、最新版の PlexTools Professional のみです。AudioMASTER も、基本的には PlexTools Professional 上でしか有効にならないという制約があります。但し今後、市販のライティングソフト側で、これらの対応があるかもしれませんから、日ごろからご使用されているライティングソフトのサポート状況に注意しておくと良いでしょう。

もう一つ、今回もドライブは USB2.0 インターフェイスを介した外付けケースに設置する予定でしたが、こうすると PlexTools Professional 上では Premium2 とは認識されず、Premium と認識されてしまうことが分かりました。 従って、音質的には良い環境ではありませんが、今回のレポートは PC に内蔵して普通に ATA インターフェイス接続で行なうこととしました。

●使用メディア
使用メディアは以下の通りです。
今回は、CD-DA の音質評価ということで、対象を 74min メディアに限定しました。
しかし、いざ探してみると現在流通している CD-R のメーカーが激減していることに驚きました。 いつものように各メーカーのメディアを数種類揃えようと、家電量販店で普通に購入したのですが、誘電と三菱(台湾)の他、国産ブランドは誘電の OEM ばかりで、台湾製の国産ブランドがなかなか見つかりません。やっと Fuji フィルムの中国製メディアを入手できたのですが、韓国の SKC 製でした。いつのまにか SKC も中国生産していたんですねぇ。 自国生産していた頃の、同心円状の縞模様が無くなって、現行品の記録面の方が見た目は良い感じですね。(苦笑)

1.データ用 CD-R メディア

1-1
That's CDR-74SY
74min / 32x
製造元:太陽誘電(日本)
1-2
That's CDR-74MY
74min
製造元:太陽誘電(日本)

50枚スピンドル


1-3
Fuji CD-R COLOR MIX
74min / 48x
製造元:SKC(韓国) / 原産国:中国
 
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2.音楽用 CD-R メディア

2-1
A74CP
74min
製造元:太陽誘電(日本)
 2-2
Phono-R
74min
製造元:三菱化学 / 原産国:台湾

●評価方法
(1) Premium との比較
オリジナル CD の音質をリファレンスとした上で、Premium2 の実力を見極めるため、前作の Premium との比較をメインに行ないます。従って、サンプルメディアは 4x 書き込みで行なっています。もちろん、Premium も Premium2 と全く同条件で PC に取り付けて、同じパッケージのメディアに対して、あらためて書き込みを行なっています。
(2) 2x 書き込みの音質評価
2x 書き込みの実力を 4x 書き込みしたメディアと比較しました。
(3) AudioMASTER の音質評価
AudioMASTER を有効にして書き込んだメディアと通常の 4x 書き込みの音質を比較しました。

●総評
Premium からの進化を確実に感じる秀作です。
総じて伸びやかで落ち着いた音色で、中域から高域にかけての分解能が特に優れている印象です。
このバランスの良さと伸びやかさ、先日レポートした、やはり優れた音質であった PX-760A がすっかり霞んでしまうほどです。

(1) Premium との比較
気になる Premium との比較では、太陽誘電と Fuji で比較してみましたが、太陽誘電では極めて酷似した音作りがなされており、比較は難しいものがありました。あえて厳密に評価すれば、太陽誘電を Premium で焼いたものは高域がやや乾いて抜けた感じに聴こえるのに対し、Permium2 では高域が繊細かつ確実に伝わってくると言ったところでしょうか。
これに対し、Fuji では音質が両者共に全く異なる結果を示しました。Premium では太陽誘電と似たようなフラットな音色を得られるものの、分解能も平凡な印象なのに対し、Premium2 では高域が伸びやかで分解能も高く、明るく聴こえます。
Fuji (SKC) に関してはメディアの発売時期によるライトストラテジの差が大きいものと考えられますが、総じて Premium2 のスッキリした音色は驚くべきものがあります。

(2) 2x 書き込みの音質評価
2x 書き込みは、4x 書き込みに比べると、全体的に落ち着いて透明感が増したような印象に変わります。ただ、その差は僅かで、現行メディアを Premium2 で使用する限り、必ずしも 2x で書き込む方が良い音質を得られるとは限らないような気がします。(エラーレート等の物理特性は別として)

(3) AudioMASTER の音質評価
AudioMASTER の効果ですが、有効にして書き込むと、通常の 4x 書き込みに比較して、かつて市販されていた 63min メディアを彷彿とさせる、特有のエネルギー感と言うか生々しさがプラスされているのがはっきりと分かります。これは一聴の価値ありです。

●メディア毎の音質 (全て4倍速書き込み)

1.データ用 CD-R メディア

1-1 太陽誘電 74TY 74min 32x
リファレンスとして最適なフラット志向。分解能も高く、大変バランスが良い。

1-2 太陽誘電 74MY 74min
素晴らしいです。透明感、分解能、広大なレンジ、どれをとっても文句無しに最高です。
高価なメディアだから当たり前ですが、Premium2 のポテンシャルを最大限に引き出すなら、このメディアを外すことは出来ません。

1-3 Fuji CD-R COLOR MIX 74min
総評でも書きましたが、高域の分解能に優れるので、POPS 向きな音質です。但し、中域から低域には若干ボリューム感に乏しいです。でも、SKC の音質は意外にもかなり良いことが判明したのは、嬉しい誤算です。

2.音楽用 CD-R メディア

2-1 太陽誘電 74min

かつては当サイトでも高音質メディアとして推奨していたこのメディアですが、2年前の Premium で評価した際には良い結果が得られませんでした。
実は今回も、2年前と同様に Premium2 でも特別なアドバンテージを感じることはありませんでした。
分解能も質感も平凡で、あえて Premium2 用として選択する必要は感じられません。

2-2 三菱化学 Phono-R 74min
相変わらず面白い音色です。レンジは狭いのですが、中域が厚く分解能の良い帯域も中域に集中している印象です。 ウォーム・サウンドでとても聴きやすく、カセットテープで例えるなら、Fe-Cr テープ(なんて書くと歳がばれる)の音質に似ています。
オリジナルソースに近いかどうかはともかくとして、何かホッとさせられる音色です。

注意:これらの音質評価は、COLT-T が普通に購入したメディアを客観的に評価したものですが、幾度となく申し上げているように、メディアのバラツキや書き込み環境によって、音質は変化します。
あくまでも参考までにとどめ、最終的には皆さん自身が各々ご確認下さい。

●まとめ
2年前の感動がよみがえります。良質のメディアを使えば、そのメディアに見合うだけの高音質をもたらしてくれる点では、Premium の音を初めて聴いたときの驚きを思い出します。 しかし、Premum2 はそれ以上の驚きをもたらしてくれます。 特に太陽誘電の CD-R for Master (74MY) とのマッチングは特筆に価します。
しかも、前回は外付けケースでのサンプルメディア制作であったのに対し、今回は PC ケース内蔵です。
もし今後、ファームウェア等の更新により、外付けケースでの使用に対応したならば、大化けするポテンシャルを強く感じました。その違いは、Premium と同条件での比較で判明しました。 結局のところ Premium を凌駕する音質を聴かせたのは他でもない、その進化型である Premium2 でした。
DVD±R/RW ドライブが5,6千円程度で購入できる昨今に於いて、2万円近い単価の CD-R/RW ドライブは決して安い買い物ではないとは思いますが、CD-DA の音質を追求したいと思うのであれば、投資する価値は十二分に存在するでしょう。

2006年5月4日 (C) COLT-T
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