特筆すべき特徴をもう一つ。
本体ボディは驚くべきことに、アルミ押し出しのモノコック構造という、堅牢性と熱伝導性に優れた、高品位書き込みにとって理想的なものを採用しているのです。
このモデルの発表当初、プレスリリースをちらっと見たときに、モノコック構造のケースを採用と書いてあったので、板金のプレスで剛性を高めているのだと勝手に想像していたのですが、まさかコストの高いアルミ押し出しを、外装ケースに使っているとは。 PCの周辺機器で、外装ケースにここまで手を掛けているものは、今まで見たことがありません。(^^; これを見るだけでも、同社の気合いの入れ具合が半端なものではないということが分かります。
※PX-W4012TU のファームウェアは、内蔵タイプの PX-W4012TA
と互換性は無いので、PX-W4012TA
には適用出来ないとのことです。今後、PX-W4012TU の新ファームウェアが公開されるかも知れませんが、メーカーさん曰く、「内蔵タイプの PX-W4012TA に PX-W4012TU
のファームウェアを使わないでください」とのことです。(その逆をする人はいないと思いますが...。) いずれにしても、実際に公開された場合は、その時のメーカーの指示に従うのが宜しいでしょう。
この他の詳しい製品情報は、プレクスター(株)のウェブサイトをご覧になっていただければ幸いです。
プレクスター株式会社トップページ: http://www.plextor.co.jp/
PX-W4012TU の製品紹介ページ: http://www.plextor.co.jp/products/pxw4012tu/index.html
それではそろそろ、試聴に入りましょう。
●メディアの準備
今回使用したメディアは、以下の通りです。
データ用と音楽用、それぞれ一般的に売られているものを使いました。
あと、やっぱり昔の良質メディアを使った場合の音質も知りたいということで、TDK の CD-R63PWS と太陽誘電 CDR-74ZY PM 盤 8倍速 も参加させました。
本当は、PX-W4012TA レポート時と同じメディアを使いたかったのですが、ほとんどが調達の都合で入手できませんでした。仕方ないので、PX-320A レポート時のメディアを使うことにしたのですが、実際 PX-W4012TA と PX-320A の音質は酷似しているので、評価の大部分は PX-W4012TA との比較として認識していただいて結構だと思っています。
なお、書き込み速度はいずれも 4x です。
●使用メディア
1.データ用 CD-R メディア
※2-4 maxell CD-R
PRO-X は、音楽用同等として評価しています。
●判断基準
オリジナルソース(リッピング元のプレスCD)に対する音質変化。
●総評:
外付けの効果はてきめんです。実によく、メディアの能力を引き出しています。
全てのメディアで分解能と質感が向上しており、PX-W4012TA の時のレポートでは触れていませんが、PX-W4012TA で焼いて印象が悪かった、外れロットの 24x 対応 74TY が、かなり好印象な音で書き込まれていました。
前述したように、今回使ったメディアは PX-320A のレポートで使用したものが多く含まれていますが、そのどれをとっても PX-320A を PC に内蔵した時より確実に音が違います。密度が高いのです。
●メディア毎の音質
1.データ用 CD-R メディア
1-1 RiTEK 80min 24x
元々印象は悪くないが、PX-320A
で焼いたときよりも、更に分解能と質感が向上している。
ドンシャリ傾向は相変わらずだが、普通に聴くぶんには全く問題ない。
1-2 PHILIPS CD-R80 80min 24x
一聴してハッ!とした。非常にクリアで澄んだ音色が心地よい。80min
メディアでありながら質感も十分で、これは今まで使った
80min
メディアの中でも、最高クラスだと言える。全く意外だった。今のうちに買いだめしておいて損はないと思う。(笑)
1-3 太陽誘電 74TY 74min 24x
今回使ったものは、実は PX-W4012TA
をレポートしたときに購入し、音質が悪い「外れロット」だったのでレポートには使わず、それ以降放っぽっていたもの。しかし、淡い期待を抱き、今回焼いて試聴してみたところ、PX-W4012TA
で焼いたときと比較して、明らかに分解能と質感が向上していた。質の悪いメディアでも、かなりのレベルまで能力を引き出すことが出来るようだ。
1-4 太陽誘電 旧74ZY 8x 対応品
いつもながらこの優秀メディア、優れた分解能とフラットな音色は申し分ない。それに加え
PX-W4012TU
では、質感と臨場感が加味され、実にリアルな音色。 古いメディアでも、十分に能力を引き出している。この辺は
PowerRec-II に依るところが大きいのかも知れない。
1-5 TDK CD-R63PWS 63min 6x 対応品
今回の 63min メディアは、TDK 63min
のプリンタブルホワイト盤で、手持ちのストックの中で音質がイマイチのロットの部類に入るもの。以前
COLT921S-PR
(^^; で焼いたものと同様に、分解能は 63min
メディアとしては不十分なものの、63min
メディア特有の鮮度の高さと弾むような躍動感と言う点では
COLT921S-PR よりも良好な結果を得ることが出来た。
2.音楽用 CD-R メディア
2-1 誘電 74min
PX-320A のレポートでその真価の片鱗を見せたこのメディアだが、今回は更に上のクォリティを発揮した。 正直言って、8倍速の旧誘電同等か、それ以上の音質であると言える。
恐らく、現在入手できる CD-R メディアのうちで最高ランクと言っても過言ではないと思う。何しろ癖が無くて、音色はあくまでもフラット。ドライブの能力がそのまま音に反映する。
2-2 三菱 Phono-R 74min(アゾ色素、記録面は深い青色)
レーベル面が大のお気に入り。
今後は是非、中心部分が、プリンタブル仕様になっているものを発売して欲しい。(笑)
一方、音質はやはり、アゾ特有の癖がまとわりつく。 確かに、全域フラットでアナログチックな不思議なぬくもりを感じる、親しみやすい音色であることは、大変好印象なのだが、いかんせん輪郭が荒い。チリチリとした成分が常につきまとい、音の品位を落としている。
ゼネラル・オーディオで聴くぶんには、あまり気にならないと思われるが、機器のグレードが上がるにつれ、ざらつきが目立つようになるだろう。このざらつき感が払拭されない限り、HiFi ソースの記録にはちと辛いかもしれない。
ただし、この不思議な音色は、昔の Fe-Cr テープのような独特のぬくもりがあって、聴いているうちに次第に惹かれていく感覚を覚える。見方を変えれば、ゼネラル・オーディオならば、大変魅力的な音を出すメディアと言えると思う。そう言った使い分けも良い。
2-3 TDK 74min
元々は比較的平凡な印象のメディアであるが、このメディアもまた、PX-320A の時よりも分解能と質感が向上している。 ただ、絶対的な分解能と質感は高いとは言えず、音質にこだわる用途にはあまり向いていない。
2-4 maxell Pro-X 80min
PX-320A ではイマイチだったこのメディアだが、今回は飛躍的に音質が向上している。
雰囲気的には 1-2 Philips 80min の音色に、中低域の重厚さを加えた印象で、バランスも良く実に聴きやすい。
注意:これらの音質評価は、COLT-T
が普通に購入したメディアを客観的に評価したものですが、幾度となく申し上げているように、メディアのバラツキや書き込み環境によって、音質は変化します。
あくまでも参考までにとどめ、最終的には皆さん自身が各々ご確認下さい。
●まとめ
内蔵タイプの PX-W4012TA
と比較すると、最初から外付けユニットとして設計された
PX-W4012TU
の優位性は明らかです。ボディもスタイリッシュです。
確かに、使用しているドライブは基本的に同じものですから、焼き上がった
CD-DA
の音色は似通っていますが、やはり外付けユニットの方が、分解能と質感の向上が顕著に現れるのです。これは外付けしたことによる、独立かつ安定した電源供給と、PC
内で発せられる様々なノイズからの遮断が、書き込み品位の差となって現れているからに他なりません。
試しに、PX-W4012TA を、ある常連さんからいただいた SUN
のケースのインターフェイス部分を改造した外付けケースに組み込み、同条件で焼いてみたところ、PX-W4012TU
に肉薄する品位の書き込みを実現できました。
ケースの改造は、一般の方には敷居が高いものです。ですから、最初から質の高い外付けユニットとして発売されている
PX-W4012TU
は、自分で改造せずとも手軽に高品位な書き込みを実現できる一手段として、大変有効であると思います。