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PX-W4824TA 使用レポート

プレクスター株式会社から、48倍速書き込み、24倍速書き換え対応という超高速 CD-R/RW ドライブ、PX-W4824TA が発売されました。 同社に於いては、既に定評のある、CD-DA の高品位な書き込みはもちろん、全周 CAVによる48倍速の書き込みを実現しています。この48倍速という、とてつもなく高速な書き込み速度は、記録品位にどんな影響を与えるのでしょうか? では早速、この最新モデルをレポートすることにしましょう。

●PX-W4824TA の特徴
今までのモデル同様、高品位な書き込みを実現するための要素が満載です。 お馴染みの、

・ブラックトレイの採用
・VariRec による、書き込み品位の微調整
・強化した電源部

等はもちろん、今回のモデルでは何と言っても、最新の PowerRec 機能による、高品位な 48x 全周 CAV 書き込みを実現した事が、最大の特徴であると言えるでしょう。

その一方で、読み出し速度に関しては、48x での読み出しは可能ですが、 CD-ROM Mode 1 フォーマットで書き込まれたものに限定されています。
また、通常の最高速度は 40x で、48x は読み出し毎に、明示的に指定する必要があるとのことです。読み出しが終わるごとにリセットされ、通常の 40x までの設定に戻されます。



PX-W4824TA

手元の資料によると、質の悪いメディアを使って 48x 読み出しを行った場合、ごく希に破損の可能性が高まることがあったそうで、プレクスター社内による様々な検証の末、「CD-ROM Mode 1 フォーマットに限定、初期設定は 40x 」という制限を持たせるに至った、とのこと。
この見解は、見方によるとやや消極的に感じる方もいらっしゃると思いますが、個人的には、一部の海外メーカー品のように、やたらと表面的な性能を誇示するだけのものとは異なり、無闇やたらに高速をアピールしない姿勢に好感が持てます。

もう一つ、94:55 までのオーバー・バーンに正式に対応しています。
99min ギリギリまで書かせないのは、おそらく 97min - 99min 付近の物理アドレスと、リードイン仮想アドレス領域の干渉を避けるための配慮だと思います。安全を見て、97min ギリギリではなく、95min 以内に制限しているのでしょう。

この他の詳しい製品情報は、プレクスター(株)のウェブサイトをご覧になっていただければ幸いです。

プレクスター株式会社トップページ: http://www.plextor.co.jp/
PX-W4824TA の製品紹介: http://www.plextor.co.jp/products/pxw4824t/index.html

ところで、いわゆる全周 CAV による書き込みは、スピンドルモーターが常に一定の速度で回転しているので、最内周と最外周を比較すると、線速度が大きく変化するのは皆さんもご存知だと思います。 高品位な書き込みに定評のある同社の CD-R/RW ドライブであっても、書き込み品位は最内周と最外周で異なっているはずです。
よって今回は、いつもの音質評価に加えて、内周と外周の音質差も調べてみることにしましょう。

●準備
今までの内蔵タイプと同じ方法。 あくまでも、一般ユーザーが普通に使う場合を想定し、外付けケースや電源ユニットにこだわるといった部分は、機を改めてご紹介したいと思います...というか、最近は当サイトの BBS の常連さん達がいち早く、ものすごいマシンを作っちゃうので、私なんかの出る幕が無いって感じですね。(^^;

いつも貴重なレポート有難うございます>常連の皆様 m(_ _)m

●使用メディア
さて、今回使用したメディアは、以下の通りです。
今までと同様、データ用と音楽用、それぞれ一般的に売られているものを揃えました。
しかし、現在売られているメディアの多くは、誘電 OEM または RiTEK OEM の占める割合が非常に高く、製造元ベースで見ると実質的な選択肢は、かなり狭くなっているのを感じるようになってきました。(*_*;)

評価に使ったメディアは、いつもお馴染みの誘電 74TY 32x、Victor の 48x 対応版(RiTEK OEM)、TDK の CDR-63PWS など。さて、今回の怪しいメディア代表は、PCline 80min です。製造元は CMC なので、あまり期待は出来そうになりませんが、何しろ 50枚バルクが \999 という価格のメディア。 半分ジョークで試してみます。
ほか、AZO を2品種。 4x-48x 対応の高速版と 1x-16x 対応の高互換性版。
音質的にはあまり良い印象がないアゾメディアですが、現時点に於いて高速対応品と低速対応品の両方をラインナップするという、ユーザー本位の姿勢を好感し、テストに加えてみました。(最近不思議と、アゾを使う機会が多いな...。)

音楽用 CD-R メディアは、いつもの誘電と Phono-R 、それに加えて今回は新たに、AXIA の CD-R PRO for Audio を評価しました。高品位な音で定評のあるこのメディア、誘電音楽用にどこまで迫れるか、興味があります。(笑)

なお、書き込み速度はいずれも 4x です。

1.データ用 CD-R メディア

1-1 PCline
CDR 80 24x
1-2 Victor
CD-R Color Mix 74min 48x
1-3 三菱化学
CD-R 74min 4x-48x
1-4 三菱化学
CD-R 74min 1x-16x
1-5 太陽誘電 74TY 74min 32x
(ジャケットは 24x品流用)
1-6
TDK CD-R63PWS 63min
1-7 AKIBANG
CD-R 99min
 

2.音楽用 CD-R メディア

2-1 太陽誘電
A74CP 74min
2-2 三菱化学
CD-R AUDIO Phono-R 74min
2-3 AXIA
CD-R PRO for Audio 74min
 

●判断基準
オリジナルソース(リッピング元のプレスCD)に対する音質変化。

●総評:
総合的に判断すると、PX-W4824TA で焼いた場合の音は、全般的にメリハリのはっきりした音になる傾向を感じます。また、フタロメディアとの相性が、比較的良い印象を感じました。
前モデルの PX-4012TA では、若干高域に派手さが乗る傾向がありましたが、今回のPX-W4824TA では、それに加えて低域成分のボリュームも増した感があります。とは言え、決してドンシャリ傾向と言うわけではなく、あくまでも「そういった薬味が効いている」程度のものです。
つまり、ここで感じるのは、ユーザー好みの音作りを多少は考慮しているのではないか?ということです。

●メディア毎の音質

1.データ用 CD-R メディア

1-1 PCline CD-R 80min 24x (MFG. CMC)
何せ製造元が CMC なので、あまり期待していなかったが、どうやら当たりロットだったらしく、やや高域が強いものの、伸びやかで意外に聴きやすい音。但し、敢えて分解能や質感の高さを伝えるだけのレベルには達していない。 「いつもより良いね」と言う程度。

1-2 Victor CD-R Color Mix 74min 48x (MFG. RiTEK)
ちょっと乾き気味の音だが、分解能もそこそこ良くて、優れた音質だが、取り立ててアピールする部分も無い。VariRec を + 方向にするとバランスが取れる。

1-3 三菱化学 CD-R 74min 4x-48x

むむむ。滑らかである。従来感じていた、AZO メディア特有のざらつき感が無くなっている! だが、それと共に、分解能もやや低下している。(^^; ただ、心地よいフラット感は相変わらずで、トータルで考えると非常に良くまとまっているのではないだろうか。 音で言えば、前回のレポートで試した Philips メディアに近い音だ。 しかしそれにしても、記録面の色はもはや誘電のよう...。(^^;

1-4 三菱化学 CD-R 74min 1x-16x

上記の高速対応盤と比べると、明らかにこちらのほうが、質感や分解能が高い。やはり低書き込み速度に最適化されているほうが、より CD-DA の書き込みには適していることが、はっきりと分かる。
またこちらも、従来のざらつき感が払拭されているように感じる。

1-5 太陽誘電 74TY 74min 32x
ハズレロットの残りを使いきり。(^^; 音質自体は、いつも通りフラットで聴きやすい。 ただ、やはり分解能の悪さと質感の低さが目立っている。これは、イマイチなロットであることが起因する部分も多くを占めるが、PC内蔵という決して良くはない環境下での使用が一因である可能性も否定できない。

1-6 TDK CD-R63PWS 63min 6x 対応品
これもハズレロットのためか、音質が思わしくない。 分解能が悪く、全く冴えない。(T_T)
何よりも、63min メディアならではの、生き生きとした鮮度が伝わってこないのが痛い。
PX-W4012TU の時は、外付けによる効果でメディアの能力をギリギリまで引き出せた印象であったが、PC内蔵ではそこまでの領域には到達できないようだ。
このメディア、普通ならば素晴らしい音を聞かせてくれるのだが...いかんせんこの頃の TDK はバラツキが大きい。

2.音楽用 CD-R メディア

2-1 誘電 74min
今までと同様、リファレンスとも言うべき、高いレベルで安定した品位。
今回のテストでは、データ用は全体的に明るめの音であったため、音楽用誘電はむしろ控えめに聴こえる。 とは言え、やはりこの分解能と質感は、他のメディアではなかなか出せないだろう。

2-2 三菱 Phono-R 74min(アゾ色素、記録面は深い青色)
PX-W4012TU にて使用した時と同様に、フラットな独自のぬくもりを持った音が楽しいが、今回もざらつき感は残っている。 このざらつきさえ無くなれば、データ用の1x-16x よりも高い分解能が生きてくる。
誘電に肉薄する優れた音を得られるのも、遠くないかも知れない。

2-3 AXIA CD-R PRO for Audio 74min
一聴してびっくりした。 この緻密かつ上品な音は、誘電音楽用を明らかに凌ぐ。
繊細な表現力は、再生装置が1ランク上がったような印象を受ける。 高価なメディアは、必ず音で応えてくれるという自説を持っているが、このメディアはその好例だと思う。

注意:これらの音質評価は、COLT-T が普通に購入したメディアを客観的に評価したものですが、幾度となく申し上げているように、メディアのバラツキや書き込み環境によって、音質は変化します。
あくまでも参考までにとどめ、最終的には皆さん自身が各々ご確認下さい。

番外: 99min メディアの書き込みテスト

使ったのは、あきばんぐで販売していた 99min メディアで、ATIP の解析でも製造元が出てきませんが、シリアル NO. の形態から推測して RiTEK 製と思われます。中心部にあきばんぐの社名と URL がプリントされています。
結果ですが、ちょうど良く揃えられた 94:29 分の WAV データを、全く問題なく書き込めました。
もちろん、CD デッキで正常に再生もOK。 99min メディアが問題なく使えるというのは、いざというときの安心感があります。(笑)

●未体験ゾーンにトライ!
PX-W4824TA では、全周 CAV 記録による 48x CD-DA 書き込みが可能です。
そこで、最内周付近と最外周付近では、どの程度の音質差が生じるのかを検証してみました。
果たして、プレクスターが謳う、CAV での高記録品位は達成しているのでしょうか。

使用したメディアは、三菱化学の 4x-48x タイプを使ってみました。
いやぁ、それにしても速い速い。 しかし、ここまで速いと、CD-R のありがたみも薄れますねぇ。(~_~;
CD-R 普及の黎明期には、自分で CD が作れるだけでものすごい事だったし、2x 程度でチマチマと何十分もかけて書き込まれるドライブの動作を、ワクワクしながらじ〜っと眺めていたものですが、このモデルときたら、ほんの3,4分で一枚焼けちゃうんですから。(^^; 書き込みボタンを押したあとで、ちょっとトイレに行って、帰りの手洗いついでに台所でペットボトルとコップを持って来て、ドリンク一杯飲み干すところで、もう焼き上がり。

余談はさておき、焼き上がったものを試聴してみましたが、う〜ん...。
驚いたことに、内周と外周で明確な音質差は感じられません! 音質自体は、やはり多少カサついている程度で、これも普通に聴く分には遜色無いレベル。 それはともかく、CAV でしかも 48x という超高速で書き込んでいるにもかかわらず、内周と外周の音質差が殆ど感じられないと言うのは、自分自身でもすぐには信じられませんでした。

これが、プレクスターが謳うところのリアルタイム CAV ライト監視・調整機能の賜、と言うことなのでしょうか。
それにしても、CAV で書き込んでいるのなら、外周と内周のライトストラテジの差が、必ず何らかの影響を与えているはず。 それを限りなく少ない差に押さえ込んでいるとすれば、本当に素晴らしいと思います。

残念ながら、現在の私のテスト環境では、それ以上の検証が出来ません。 いずれまた機会があれば、もっと強化した環境で、違った切り口からテストしてみたいと思います。(マジで不思議に思っているので。(^^; )

●まとめ
今までの PX-W4012TA や PX-320A 等と比較すると、繊細さを保ちながらも、よりエネルギッシュな印象を与える音になっていると思います。 大部分のユーザーは、クラシックやジャズなどよりも、ポップスやロックを聴くケースのほうが多いわけで、この音の傾向はそういった音楽に、よりフィットすると思います。

エンジニアのお話によると、4x 書き込み時の CD-DA では、ファームウェア開発者が数種類のライトストラテジで書き込んだものを試聴した上で、ライトストラテジのどの要素が音質に大きく影響するかを分析し、そこで得られた情報を入れ込んでいるとのことです。 要するに、4x ではほかの書き込み速度以上に、ライトストラテジを徹底的にチューンしていると言うわけですね。 また、電源強化の手段についても、従来と異なる方法を試みているとのこと。

テスト中で今までと異なる音作りを感じたのは、上のような事情の結果だったのかも知れません。
今回の PX-W4824TA は、超高速書き込みでの性能もさることながら、使う側の音質の好みを綿密に調査した結果を音作りに反映し、更に一歩進んだ音質チューニングを施しているという印象を感じました。
出来るなら、PCへの内蔵して使うよりも、是非、外付けケースで使って欲しいと思わせるドライブです。

2002年9月8日 (C) COLT-T
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