webcoms models

Last Update: 18 Apr. 2007

 

Gallery

General Home

Home | Gallery | Modeling commentaries | Extra-smalls | Contact
 



<< 戻る

■ 1/32 童友社(トミー金型): A6M2 三菱零式艦上戦闘機 21型

初の 1/32 スケールモデルの製作である。
模型作りに舞い戻って以来、1/32 はいつか作りたいと思っていたのだが、完成品の置き場の問題と怒濤のパーツ点数に圧倒されるイメージが強く、製作に二の足を踏んでいた。 と言いながら、キットだけはトランペッターだの、タミヤの零戦だの、沢山買い込んでいるのだから、自己矛盾も甚だしいというものである。(苦笑)

さて、この童友社の零戦21型であるが、ご存知のように 30年以上前に、トミーが発売したプロペラのモーターライズで自走可能というギミックを選択できる、ユニークなプラモデルであった。その後金型は数社の手を渡り、現在は童友社が所有している。タミヤの 1/32 零戦21型が発売されるまでこのスケールでは唯一無二の存在であった。 最初に製作する 1/32 という意味では、このキットは大きさの割りに最近の 1/48 程度のシンプルなパーツ数なので、1/32 というスケールの感覚を掴むという当初の目的を達成するのにはちょうど良い素材である。
しかし、このキットを侮る無かれ。30年以上も前に作られたものであるとは、言われなければ分からないほどの高い水準でまとめられた製品である。

製作にあたっては、さすがに繊細なモールドにも傷みがみられ、経年の痛々しさを感じずにいられないが、それでも丁寧にモールドを再生し、表面処理を抜かりなく行えば、素晴らしい仕上がりを期待できる。
塗装は、今話題のガイアノーツから発売されている、真正の零戦色「灰緑色(かいりょくしょく)」を使用した。
この「灰緑色」、実に不思議な色味である。実物は蛍光灯下で見ると画像よりも、もっと緑っぽく、まさに「青畳」色という印象となるのだが、昼光下だと白味が目立ち従来の若干黄緑っぽい灰色に見える。
当時の兵士たちの証言をして、聞き手がさまざまな色味をイメージされてきた理由がわかったような気がする。確かに、形容しにくい複雑な色味だなと感じている。
トップページで零戦の機体色に関してあれこれ御託を並べているが、今となっては、「灰緑色(かいりょくしょく)」この名称がベストマッチだな、と思う。
塗装している時点では、本当にこの色で正しいのか!?と正直言って不安を感じていたが、今ではこの色味のイメージにだんだん違和感がなくなってきつつある。

実は、このキットを製作した動機の一つは、2006年8月にタミヤから決定版の零戦21型が発売されることが決定し、さすがの古き名作も陳腐化は免れないであろう。だったら今のうちに製作してしまえ、というかなり後ろ向きなものであった。
ところが、製作しているうちに、約30年前にこのキットを設計した技術者の情熱がビンビン伝わってくるような、職人気質の素晴らしい造形に魅了されてゆく自分に気が付く。
製作が進むたびにどんどんこのキットが好きになってくるのが実感できた。 こんな経験は、プラモデルを作り続けていて初めて味わう喜びであった。
タミヤの 21型はもちろん、素晴らしいに決まっているが、ここをご覧になっている諸氏も、まずはこの童友社の零戦を作ってみてはいかがだろうか。 モールド、プロポーション、日本人ならこの造形の巧妙さに共感すること間違いなし。
噛めば噛むほど味が出る。スルメみたいなキットである。 (2007年4月18日)

 

 

 

 

 

<< 戻る

 


Copyright (C) by COLT-T All rights reserved.
Since 01 Feb.2006