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■ 1/48 ハセガワ: Grumman F6F-3 Hellcat
”シャークマウス”
F6F-3
は、自分にとって一番米海軍機のトライカラー・スキムが似合う機体だと思っている。以前
-5型を製作した際に、約20年前にオオタキ製を製作したことがあったと書いたが、その時もトライカラーの
-3型を製作していた。残念ながらその当時の作品は、行きつけの模型店に置きっぱなしのまま、その模型店の閉店と同時に紛失してしまった。今回は
-3型としては2作目ということになる。
今回のテーマは、ディテールを今まで以上に細かくリアルに、ワンランク上の再現性を目指す。そのため、普段は高価であまり使わないレジンパーツを購入した。
キット自体は今更説明する必要も無いほど、大変完成度の高いものである。今年(2008年)エデュアルドから発売された最新の
-3
型で話題になったタケノコ状の胴体のパネルライン再現は、既に何年も前にハセガワで再現されているのであるが、何故かあまり語られていないのがちょっと惜しい。
ちなみにエデュアルドの製品も購入済みだが、かなりの部品点数で取り組むには多少の気合が必要だ。ハセガワの製品は、適度な部品点数でエデュアルドよりも気軽に取り組む気持ちになれるのが嬉しい。
コックピットは既に絶版であろう Jaguar のレジンパーツを使う。
キットのパーツでもスケールに見合う程度の再現性を有しているが、Jaguar のレジンパーツは非常に正確、かつ詳細な再現性を有しているのが嬉しい。フィッティングをチェックしてみるが、キットとの整合性は良好である。
カウリングには Quickboost を使用した。Quickboost のカウリングは、以前 -5型を製作した際に使用したカッティングエッジの物よりも形状が自分のイメージにより近く、ディテール、成型精度共に高いので好感。
カッティングエッジと同じくエアインテークが別パーツとなっているのだが、ここの接着の際に生じる隙間のパテ埋めと整形が結構面倒だ。カウルフラップは、デフォルトでは開いた状態であるが、切り離して閉じてしまった。
模型的には表現を豊かにする格好の要素であることは分かるのだが、実機の場合の必然性を考慮すると、個人的にはカウルフラップが脈絡なく開きっ放しになっているのは、どうも締まりがなくみっともないような気がする。 まさに出撃!というスロットルを全開にした場面をイメージすれば、それで良いのかもしれないが。
カウルフラップを閉じたものがこちら。やっぱり機首周りのラインが引き締まってカッコイイ!
中央のインテークには、、後ろからハセガワのエッチングメッシュを貼る。
メッシュの角度が曲がっているように見えるが、実際は曲がっていない。
ちょっと焦ったが、マットの方眼の影響で曲がって見えるようだ。(^^;
細かい作業は、基本的にあまり苦にならないほうだと思うが、どうもコックピットの塗り分けはモチベーションがあまり上がらない状態で行うことが多いかもしれない。1/48 ともなると、精密感を凝縮したようなレジンのコックピットでディテールアップすると、やはりかなりの効果を期待出来るが、高揚と同じだけの苦痛を伴う。
私の場合、出だしの進み具合が遅いのは、このコックピットの工作がネックになっていることに他ならないと言うことを、改めて痛感した次第。(^^;
と言いつつ、出来上がったコックピットにほぼ満足し、峠を過ぎればまたペースも上がると言うものである。
ところで大変精密で正確な考証の Jaguar のレジンパーツであるが、インパネのモールドが甘く、計器針は塗り分けられるが、目盛りまでは無理。 インパネだけでもキットを流用しようかとも思ったが、フィッティングに時間がかかりそうなので、レジンをそのまま使うことにした。
何とか塗装でそれっぽく見せ掛けることができたので良しとしよう。
胴体に取り付け中の画像がこちら。座席後方、小窓のある空間はライトグレーで塗装。
胴体をくり抜いて小窓を取り付けるのだが、穴の大きさを微調整するも、どうしても隙間が空いてしまうので、パテを使って隙間を塞ぐ。 これをいい加減に行うと、塗装の際に内部に吹き込み、透明部品が曇ってしまう恐れがあるので、丁寧に処理する。
コックピットを無事胴体に収め、主翼と合体。
今回はトライカラー・スキムの予定なので、尾翼は塗装後に接着する手順を踏むため、士の字ならぬ十の字で留める。
しかし、予想通り(苦笑)接合部にギャップが生じるため、パテ埋めは避けられないのはしょうがないか。 硬化後の表面処理で埋まってしまったモールドはきれいに再生し、胴体の工作終了。
エンジンは Quickboost のレジンパーツにプッシュロッドとプラグコードを追加する。
コックピットの塗り分けは苦痛を感じるくせに、同じくらいに細かいエンジンのディテールアップは不思議と楽しさが先立つ。<画像:プッシュロッド追加>
プラグコードはラッキーにて φ0.3mm の錫線と思われるものを入手。くたくたで柔らか過ぎるが、扱い慣れてくると大変作業し易い。<画像:プラグコード追加1><画像:プラグコード追加2><画像:工作終了>
一通り工作が終わった時点で、塗装に入る。
プラット&ホィットニー系のエンジンは、カラー画像が数多く現存しているようで、いろんな資料本で散見出来る。 色々見と比べて、リアルさを演出できる色分けを考えるのが楽しい。<画像:エンジン完成1><画像:エンジン完成2>
機体の工作に戻る。胴体のサフ吹きが終了。カウリングは塗装後に排気管の取り付けを行うため、仮組みのままである。エンジンもそのとき接着する予定。
サーフェイサーの乾燥を待つ間、小物の下ごしらえを行う。
タイヤはパーティングラインを処理する際に消滅したトレッドパターンを目立てヤスリで再生する。画像は主脚と仮組みしたもの。所々仕上げが荒くなってしまったが、サフを吹いたらあまり目立たないので、まぁ良いか。
主脚のトルクリンクは整形の都合上、肉抜き穴がオミットされているのでドリルで穴を開けて再現する。
次に、ブレーキパイプを追加するのだが、主脚へのマネジメント金具を自作しなければならない。金属パイプのイモ付けも考えたが、簡単に取れてしまいそうなので、主脚にドリルで穴を開け、コイル状に巻いた真鍮線の端を差し込み、接着する。そのコイルの中にブレーキパイプを通すことにした。少々細かい工作だったが、何とか目論見通りに出来たのでかなり満足。(笑) <画像:固定部品の自作><画像:工作終了>
機体の塗装はもちろん、トライカラー・スキム。 サフの乾燥後、柚子肌になった部分や細かい傷などをペーパーで落とし、表面を整えたら
Finishers のベースホワイトで下地を作る。
インシグニアホワイトを下面に吹いたら、インターミディエイト・ブルー、シーブルーと塗り重ねる。<画像:機体の塗装>
シーブルーを吹いたら、吹き返しでインターミディエイト・ブルーがくすんでしまったので、主翼の付け根部分を軽くマスキングして胴体のインターミディエイト・ブルーをリカバリーした。
クリアを吹き、機体の塗装が乾燥するのを待つ間、小物パーツの仕上げ。
殆どが主翼下面へ取り付けるものなので、塗装はインシグニアホワイトが主体となる。<画像:小物パーツの仕上げ>
ブレーキパイプの処理も、塗装を施せばかなり見映えする仕上がりになったように思えるのだが、如何だろうか。
さて、いよいよ楽しいデカール貼りである。 マーキングは当初から”シャークマウス”の部隊マークが有名なプリンストン搭載機に決めていた。 個人的には、トライカラーのヘルキャットに、これ以上似合うマーキングは無い、と思っている。
デカールはキットのものをそのまま使用した。製作には数年前に限定版として流通した”キャットマウス”パッケージを使用したため、キットのデカールで十分間に合ったためだ。 巷ではこのハセガワのパッケージのように、”キャットマウス”と呼ばれていることが多いが、この機体をしてなぜ猫を連想させる呼称を用いるのか理解に苦しむ。「ヘルキャット」だから”キャットマウス”と言うのはあまりにも短絡的、反射的ではなかろうか。実際にはどのように呼ばれていたのかは分からないが、世傑では”シャークマウス”という記述であったと記憶している。
まぁそれはともかく、このトライカラー・スキムのパターンは、大洋を回遊する鮫肌の色、とりわけあの人喰い鮫で知られる獰猛な「ホオジロザメ」の肌の色と酷似していると思っている。
確かに、アオザメやイタチザメのように、より顔が尖ったような種類は
P-51や P-39/P-400
などとイメージが重なることもあるが、ホオジロザメのようにややずんぐりした体型は、ヘルキャットとイメージが重なる。
だから、私にとってプリンストン部隊のヘルキャットは獰猛なホオジロザメの部隊。”シャークマウス”の持ち主なのだ。(笑)
5枚目の作品画像の、真横から撮影した機体を見て欲しい。色といい姿といい、まさにホオジロザメそのものではないか。(自己満足)
閑話休題...。
まぁ、つまらない御託を並べたが、とにかく完成。
今回のテーマ、ワンランク上の再現性の実現であるが、緻密なレジンのコックピットと、レジンのエンジンパーツを更にディテールアップし、オミットされていたディテールを極力再現したという点では、ほぼ満足した結果が得られたと感じている。
これを製作している最中に、Aires
よりランディングギア周りのディテールアップパーツが発売された。
エッチングパーツとレジンパーツの組み合わせによるその超絶な内容に、もしこれらを組み込んでいたら、当然ものすごい事になっていたかもしれないが、年内に完成しないかもしれない、という表裏一体の内容である。
まぁ、自分の場合後者の可能性が極めて高いので、手を出さなくて正解かも。(苦笑)
(完成:2008年8月2日)
※画像をクリックすると、UXGA
サイズの大判画像がポップアップします。
拙作の画像ではありますが、宜しければ壁紙などにお使い下さい。
なお、画像の著作権は全て、COLT-T
が所有します。 |
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