CDR Media Code Identifier (CDR Identifier)(注)というユーティリティをご存じですか? これは、SCSI インターフェイスを採用した CD-R ドライブで利用可能なユーティリティで、CD-R メディアをドライブにマウントし、ボタンを一つ押すだけでメディアに記録されている Medeia Code(容量や、有機色素情報、及び製造元など)を表示してくれるという、便利なツールです。これを使って 製造元さえ判明すれば、お買い得な OEM 製品を購入したり、逆に問題のあるメディアを見分けて、無駄なまとめ買いをせずに済んだり、とかなり重宝します。
こんな感じ。これはツクモのバーガーメディアを解析した結果です。
ATIP: 97m 27s 55f
Disc Manufacturer: Mitsui Toatsu Chemicals, Inc.
Assumed Dye type: Phthalocyanine (Type 5)
Media type: CD-Recordable
Recording Speeds: min. unknown - max. unknown
nominal Capacity: 650.85MB (74m 05s 10f / LBA: 333235)
ね! バーガーメディアを見て、安価だけど変なメディアだなぁと敬遠していた方も、三井ブランドが高価で沢山買えない!と言う方も、中身が三井と同じだとわかったら、安価なバーガーメディアを買った方が得なことが分かりますね。(笑)
さて、この便利な CDR Identifier ですが、そうは言っても解析結果を鵜呑みにするわけにもいかない状況に遭遇することがあります。と言うのも、台湾のうすうすシアニン盤を CDR Identifier で解析すると、色素情報にフタロと出ることがあるんです。
例えば、これはうすうすシアニンで有名な PRINCO の場合、
ATIP: 97m 27s 28f
Disc Manufacturer: Princo Co.
Assumed Dye type: Phthalocyanine (Type 8) <-- ここに注目
Media type: CD-Recordable
Recording Speeds: min. unknown - max. unknown
nominal Capacity: 657.42MB (74m 50s 01f / LBA: 336601)
このように、使っている色素がシアニンなのにフタロシアニンと表示されてしまいます。
私も、最初は不思議に思って、台湾メーカーがハッタリでもかましているのか?と勘ぐったりした(笑)んですが、どうも真相は別のところにある様子。
当初、私の推測では、うすうすシアニンはレーザーの反応がフタロ並に敏感になってしまっているということが考えられ、そのため Media Code
を利用してドライブ側にフタロであると認識させることで正常な読み書きを実現させているのでは?と考えていたのですが、内部事情に詳しい方のお話によると、この
ATIP
コードの取得自体に煩雑な事務処理と、登録のための費用が伴うため、簡単に新しい
ATIP
コードを取得出来るわけでない、というのが真相のようです。
しかしながら、フタロの ATIP
を流用するのは仕方ないとしても、この場合シアニンでありながら、フタロの書き込み条件で書き込まれることを、ある程度考慮した製法をすべきであると思いますが、果たして現物は如何に!?
2001年9月28日 改訂