■ 第5回 2001/02/11 超激安時代の CD-R メディア選び
[ 目次 ]
まえがき
(1)2001年初頭のメディア事情
・とどまるところを知らない価格下落
・低下した品質への懸念
(2)高品質メディアの危機
・こうして品質は落ちていった
・耐光性は性能のひとつに過ぎない
・UM Doctor Pro
の解析結果を盲信すべきではない
・63分メディアはなぜ良いのか
・[コラム] 雑誌特集の功罪 -
チョウチン記事を見破れ!-
(3)いまどきのメディア選び
・良いメディアの条件
・現在の問題点と今後について
(1)2001年初頭のメディア事情
とどまるところを知らない価格下落
一年程前から加速してきた CD-R メディアの価格破壊は、当初の予想を上回る勢いで進行し、今では一部バーゲン品を除いても一枚 \50 前後にまで下落しています。
昨年4月に当サイトを公開した当初、私は「今年はこれまで以上の価格下落と、国内メーカーの海外メーカーへの生産委託が進むであろう」と予測してきました。今でこそ、やむなきことと現実を受け入れられる方も少なくありませんが、当時として国産品が次第に消え行く運命にあるという可能性は、かつての高品質を知るベテラン CD-R ユーザーにとって大いに憂慮すべき事態でした。
あれから約一年が経過した現在、あらためて現行のメディアを見ると、少なくとも国内メーカーでは三井化学の台湾 Prodisc への生産委託、リコーの台湾 RiTEK への生産委託などがあり、TDK も一部製品が RiTEK 製となっています。
しかし個人的には、当初予測していたよりも少ないように感じています。国内メーカーの台湾シフトが予想外に少ないのは、国産品の価格も台湾製に同調する形で下落していったことも要因の一つかもしれません。つまり、台湾メーカーに生産委託してそれを輸入したとしても、物流費や利益を乗せた価格設定では、国産品の価格と大差ないものになってしまうのでしょう。そうまでして台湾メーカーに作らせるよりも、国産というステータス性を持たせるほうが売上げにつながりますからね。まぁ、このあたりはメーカー個々の経営判断に左右される部分ではありますが。
一方、台湾メーカーですが、その猛烈な低価格攻勢がついに自らの首を締める事態に...。 2001年1月の年明け早々、台湾 RiTEK が CD-R を製造するために支払うロイヤリティの値下げを、ライセンサーである Philips, SONY, 及び太陽誘電へ要求。
メディア価格下落の一方で、ロイヤリティの割合が単価のかなりの部分を占めるところとなり、業を煮やした RiTEK がライセンサーへ要求したわけですがあえなく拒否され、ライセンス料を支払わない RiTEK
は自社ブランドでのメディア販売が出来なくなりました。このあたりの情報は、メディアエンポリウムの CD-R 情報記事に詳しいので、ご興味のある方はご覧になってください。
Philips らのライセンサーがロイヤリティの値下げを拒否した真意については諸説あると思いますが、個人的には台湾メーカーの超低価格品投入による市場全体の品質低下と、台湾メーカーならではの品質意識を無視したイレギュラーな製品(色付き基板のメディアとか、80分を超える規格外メディアなど)を平気で商品化する厚顔無恥さを牽制する目的もあるのでは、と睨んでいます。はてさて、この特集を掲載する頃にはどのような動きが見られるのでしょうか...興味は尽きません。
低下した品質への懸念
さて、こうした昨今の価格下落は、メディアの品質にどう影響を及ぼしているのか。
メディアの品質と言っても、実際はあまり意識することは無いと思います。
しかし、よく思い出してみてください。データ CD を焼いた後、CD-ROM ドライブでの読み出しスピードが上がらなかったり、途中で速度が落ちたりしたことは無いですか? また、CD-ROM ドライブにセットして、認識までに妙に時間がかかることはありませんか?CD-DA を焼いた場合、以前の同じメーカー製と比較して、音質に違和感を感じたことはありませんか? 更に、平坦な机などにメディアを置いて中央の透明部分を指で押した時、メディアが反っていませんか?
書き込み品位に関しては、CD-R
ドライブの性能や電源等の書き込み環境にも依存しますが、メディアの品質が悪いことも原因の一つとなっていることがあります。また、反りなどの物理的な現象は、メディアの品質低下そのものを示しています。
とりわけ最近のメディアを使うに際し、上記の現象に遭遇することが以前に比べて多いと感じるようになった思います。耐光性に優れたメディアは、最近ではそれほど珍しくはありませんが、耐光性と製造精度とは全く違います。製造精度が低いメディアは耐光性を語る以前に品質自体に問題がある場合が殆どだと思います。
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